異常抵抗による沿磁力線加速(Review)(a.入射粒子とオーロラ)(第2回極域における電離圏磁気圏総合観測シンポジウム : Part I)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
異常抵抗とそれを起こす電流励起不安定性の物理的機構についてレビューし,オーロラ電子の沿磁力線加速に適用する.異常「抵抗」が加速に効くというパラドックスは「抵抗」が速度の異なる電子に対して異なって働くことを考慮すれば解決される(PAPADOPOULOS : Rev. Geophys. Space Phys., 15, 113, 1977).沿磁力線電流を担う大部分の電子は,乱流状態となった静電波との衝突により散乱減速され沿磁力線電場の維持に寄与する.この電場により速度分布のテイル付近の電子は加速される.上部電離層で可能な不安定性の中で,静電イオンサイクロトロン不安定性が最も小さな電子のドリフト速度で励起され,比較的小さな電流で不安定となる(KlNDEL and KENNEL : J. Geophys. Res., 76, 3055, 1971).佐藤(磁気圏プラズマ波動に関するシソポジウム, 66, 1978)により提唱された沿磁力線加速の数値モデルについて触れ,電離層の重要な役割について指摘する.抵抗性の外部回路(電離層)の存在は沿磁力線電場,異常抵抗,電離層に降下する逃走(加速)電子の形成を因果関係まで含めて解決するのに不可欠である.
- 国立極地研究所の論文