巨大地震と花醐岩山地の地形: 1995年1月の阪神大地震による六甲山地での例
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概要
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1995年1月17日午前5時46分、淡路島北端部の地下14㎞ を震源としてマグニチュード7.2という大地震が発生し、淡路島から六甲山地の南麓を結ぶ延長約40㎞ にわたって震度7(激震)の大被害を生じた。すなわち、六甲山地南麓の低地を中心に市街地化が進み、人口の集積していた神戸市や芦屋市、西宮市とその延長域で大きな被害をもたらし、犠牲者だけでも5600人・全壊家屋10万戸を超すというすさまじい状況となった。筆者はかつて、1967年7月梅雨末期の集中豪雨時、多数の山腹崩壊や崖崩れによる被害を発生させた折、現地調査をおこない、その結果を建設省六甲砂防工事事務所発行の報告書にまとめた。その折明治期の裸地や崩壊地の分布とそれ以降の風水害時の被害状況をも復原し、六甲山地を形成する花崩岩の地形特性との関係を検討した。豪雨のような外的営力による山腹崩壊や侵食は、山地斜面変化の主要なプロセスとして重視されてきたが、今回の地震は内的営力が山地斜面変化プロセスにどのような役割を果すかという視点から注目されるのみならず、その検証にとって得がたいチャンスといえる。大地震の結果は、マクロ・メソスケールでとらえると、後述するごとく山地側が隆起し山麓から海岸一帯は低下したが、しかしミクロスケールでみると山地内では跳ね石現象や岩峰・岩塔(Tor)の分解、岩塊表面部の剥離脱落などきわめて注目すべき種々の現象が発生した。それらの現象の出現には、強力なストレスが必要であり、今回の地震がこのほか山地全体にわたって岩石や地形にhな影響を与えていることがわかってきた。そこで本稿では、六甲山地を形成する岩石の性質や地形の特徴と今回の大地震が与えた山体の変状や山中での被害にっいて、その実態を具体的に報告し、それに若干の考察や所見を加えておくことにした。
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