マイナス原子価への対応方法: 「原子価心理療法」への招待
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概要
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本稿は、筆者による「原子価論」に基づく「原子価心理療法(Valency PsychotherapyVAPS)」に関するものである。原子論から見れば、あらゆる心理的病理または『障害』は、「不在対象(乳房、親)」の存在(Bion, 1962a)という環境的な要因と、その結果である「マイナス原子価」という個人的要因である。マイナス原子価には、「過少の原子価」、「過度の原子価」、「未分化の原子価」という病理的形態が含まれる。VAPSは、対象関係論、特にBionによる諸理論に根付いている精神分析的心理療法である。Kernberg(1980, 1984)によれば、分析的心理療法は、「純表現的(purely expressive)」から「純抑制的」までの尺度と、「解釈的」から「支持的」までの尺度に基づいて評価することが出来る。詳細に言えば、VAPSは、「純表現的(purely expressive)」かつ「解釈的」な精神分析的心理療法であると考えられる。VAPSにおける治療、あるいはクライアントの病理的原子価を再構成化させる過程は、多くの分析的心理療法の場合と同様に、1 )マイナス原子価の査定、2 )治療的同盟の構築、3 )コンテインメント、4 )直面化の段階、5 )終結という5 つのの段階を含む(Cashdan, 1988; Hafsi, 1993)。 本稿の目的は、臨床的素材を呈示し、VAPSの治療的過程の特徴を概観することである。
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