二次性副甲状腺機能亢進症における副甲状腺の増殖機序
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概要
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慢性腎不全患者では, 活性型ビタミンD(1,25D)の産生低下, 低カルシウム(Ca)血症, リン(P)の蓄積(高P血症)によって, 副甲状腺ホルモンの分泌が持続的に亢進し, 二次性副甲状腺機能亢進症(2HPT)を発症する. 2HPTでは, 副甲状腺細胞が増殖して結節を形成し, 超音波検査で容易に検出できるほどに腫大する. 骨には典型的な線維性骨炎が生じ, X線単純写で特徴的な変化を呈する. 約20年前に, 経口投与可能な活性型ビタミンD製剤が開発され臨床応用が開始され, 2HPTは治療可能になると期待された. しかし, これまでの臨床成績の結果, 活性型ビタミンD製剤やP吸着薬を投与し, 1,25D濃度を正常に保って低Ca血症や高P血症を是正してもPTHの合成・分泌の亢進が持続する例が少なくないことが明らかになった. 活性型ビタミンDによって低Ca血症を是正してもPTH分泌亢進を抑制できない例では, CaとPTH分泌との間のフィードバック機構に異常がある. 最近では, その異常に副甲状腺細胞の形質変化が関与している可能性が示唆されている. 本項では, 2HPTの発症・進展について, 副甲状腺細胞の増殖と形質変化を中心に概説する.
- 福岡医学会,Fukuoka Medical Associationの論文
- 2003-06-25
著者
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