『日本書紀』白雑四年の遣唐使記事について
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概要
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『日本書紀』白錐四年(六五三)夏五月辛亥朔壬戌条について、鬼頭清明氏は、吉士長丹等の唐への派遣を疑われている。その根拠として、「第一に、白雑四年(六五三)夏五月辛亥朔壬戌の遣唐使には大使が二人いて、押使が欠如している事、第二に、この遣唐使に同行した学問僧に関する記事と白雑五年(六五四)二月の遣唐使(高向玄理)に関する記事との関係が疑わしい事」の二点を上げてられており、この記事と対をなす『日本書紀』白錐五年(六五四)七月是月条にみられる吉士長丹への賜封を否定しておられる。さらに、鬼頭氏は大化年代における食封についても否定的な見解を示しておられ、この見解がしばしば大化年代の食封の存否に関して大きな影響を与えている。しかし、その根拠の一つとなる鬼頭氏の遣唐使派遣を疑う見解には疑問を感じるので、この記事を検討していきたい。
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