婦人科癌-探索医療の現状と将来 蛋白質機能阻害薬の開発
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概要
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がんは遺伝子機能の異常に起因する疾患である. 遺伝子の機能異常は, 本来, 正常細胞が保有するさまざまな情報伝達系の脱制御を導き, がん細胞形質を出現させる. 近年, がん細胞形質に関与する脱制御の機構が次々と解明されつつある. 分子生物学, 構造生物学あるいは情報生物学を研究基盤として, これらシグナル伝達系をがん細胞に再構築する手段の開発が進められている. このような方法論はゲノム創薬と呼称されている. ゲノム創薬には3種の標的分子が存在する. DNAを標的とした遺伝子治療及びデコイ型核酸医薬, RNAを標的としたアンチセンスオリゴDNA及び蛋白質機能阻害薬である. 遺伝子機能の異常により, がん細胞は①増殖シグナルの自給自足化, ②増殖抑制シグナルへの抵抗性, ③細胞死の回避, ④無限増殖能, ⑤血管新生, ⑥浸潤・転移, といったがん細胞特有の表現形質を獲得する. これらの表現形質は正常細胞が保有するシグナル伝達の制御機構が蛋白質の機能異常や発現量の変化により破綻することによって出現する. このため, 現在それぞれの表現形質の形成に関与する蛋白質の機能を制御する手段の開発が推進されている. PS-341はプロテアソーム阻害剤として開発され, その抗癌効果が注目されている. その他HSP90阻害剤(geldanamycin), ピストン脱アセチル化阻害剤, 血管新生阻害剤, 蛋白質チロシンキナーゼ阻害剤, などが新規の有効な抗癌剤として臨床治験にエントリーされている. このうち, 我々はがん細胞が示す無限増殖能という表現形質に関心をもち, がん細胞に老化プログラムを再構築する手段について研究している.
- 福岡医学会,Fukuoka Medical Associationの論文
- 2006-11-25
著者
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