Ball valve syndromeを呈した体中部の無茎性胃癌の1例
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概要
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今回,我々は大変稀な胃体中部の無茎性胃癌によるBall valve syndromeを経験し,開腹胃部分切除のみを施行したが,良好な臨床経過を得られたことから若干の考察を加え報告する。 症例は,82歳女性。主訴は食欲不振・嘔吐。近医受診し,十二指腸に腫瘍が陥入していたことから当院紹介。精査の結果,胃体中部の胃癌が十二指腸に陥入していた。患者の年齢を考慮し,手術は胃部分切除のみを施行した。最終病理結果は,tub1,pT1 (SM1),pN0,H0,fStageⅠAであった。術後の経過は良好で,術後12日で退院となった。十二指腸内に胃腫瘍が脱出嵌頓し,腹痛・嘔吐などの症状を来すことを『Ball valve syndrome』と言われるが,私どもの検索しえた限りでは,我々が今回経験したような,胃体中部の無茎性胃癌によるBall valve syndromeの報告例はめずらしいと思われる。
- 2010-08-01