虚血性脳血管障害に対する遺伝子治療
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概要
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脳血管障害は我が国の死因の第3位を占めているが, 寝たきりおよび要介護患者の原因疾患としては第1位であり, 急速な勢いで高齢化社会を迎えている我が国においては今後さらなる増加が予想され, まさに国民病としての対策が必要な疾患である. 一方, 重症のクモ膜下出血や脳内出血, 内頚動脈・中大脳動脈起始部閉塞などによる広汎な脳梗塞では, 発症早期に来院しても現有の治療では救命や重篤な後遺症の防止が出来ないことが多く, 脳神経の脆弱性ならびに再生の困難さという点と併せて, 重症脳血管障害は難治性疾患の側面を有している. 遺伝子治療は本来先天性疾患に対する根治療法として開発されてきた歴史を有するが, 技術的進歩に伴って悪性腫瘍などの難治性疾患へと応用が拡大されてきた. 近年では非悪性腫瘍における難治性病態での適応も検討され, さらには虚血性心臓病や重症虚血肢などの循環器疾患においても応用が検討されている. 我々は, 有効な治療法のない重症脳血管障害の病態生理の解明と新規治療法の開発を行っており, 近年では, 遺伝子導入技術を応用した研究を進めている. 本稿では我々の研究室で進めてきた虚血性脳血管障害を対象とした遺伝子治療の研究を中心に脳血管障害領域における遺伝子治療研究を概説し, 将来展望について述べる.
- 福岡医学会,Fukuoka Medical Associationの論文
- 2006-04-25
著者
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