「家族」にとってのお墓の意味 - 「家名」との連関における考察 -
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概要
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墓は、家族にとってどのような意味を持つのか、世代間関係を分析する好適の素材である。「家名」継承調査では、地元在住、家業の有無によらず、継承理由には墓の存続が大きなウエイトを占めていた。そこで、本稿では7人への聞き取りから「家名」と墓の連関に照準した考察を行った。「家名」と墓を一体とする人、別個に考える人、その心情や選択形態はさまざまであるが、墓を先行者と後続者の「集合体」と捉えている点が共通項としてあげられる。集合体概念は集合的記憶に依拠する。集合体と「家」の違いは「家名」を系譜観念の表象とみるかどうかだが、「家」観念の有無を超えて、自分を集合体の成員として「自己カテゴリー化」する視座を有する人が墓の存続に意義を見出している。
- 2010-09-30