金鱗湖に生息するオイカワ(Zacco platypus) の形態的特徴Ⅱ : 精巣の成熟について
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概要
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温泉水が流入し、水温が年中約30℃に保たれている金鱗湖に生息するオイカワ(zacco platypus)は、年間を通して水温が変化する他の河川に生息する個体に比べて、性成熟が早いことが知られている。精巣の成熟度を比較するために、金鱗湖に生息する性徴(婚姻色と追星の発現、尾鰭の伸長)を示す小型雄固体(平均体長84.8㎜)・大分県内の河川に生息する性徴を示す大型雄固体(平均体長118.6㎜)・性徴を示さない小型雄個体(平均体長80.7㎜)の精巣における形態学的解析を行った。金鱗湖に生息するオイカワの小型雄個体の精巣(長さ20.3㎜、直径1.9㎜)は、他の河川の大型雄個体の精巣(長さ31.4㎜、直径2.8㎜)よりも小さいが、他の河川の小型雄個体の精巣(長さ15.0㎜、直径0.4㎜)よりも大きいことを示した。金鱗湖産と他河川の大型雄個体では、精巣内の精小嚢に多数の精細胞が観察されるが、小型雄個体では精小嚢に精細胞の存在はまだ観察されない。生殖腺体指数では、金鱗湖産と他河川の大型雄個体との間に明瞭な差がない。金鱗湖における小型の雄個体は、精巣においても成熟していることを明らかにした。 Morphological characteristics of testes were investigated in Zacco platypus collected from the Lake Kinrin (mean body length 84.8mm) where was kept at about 30℃ flowing hot spring water, compared from large (mean body length 118.6mm) and small individuals (mean body length 80.7mm)from the other rivers in the Oita Prefecture. Testes(20.3mm in length and 1.9mm in diameter) of males from the Lake Kinrin were smaller in size than ones(31.4mm in length and 0.4mm in diameter) of the large males from the other rivers but larger than ones(15.0mm in length and 2.8mm in diameter) of small males. Spermatogenesis was observed in the seminal lobules of testes both in the males from the Lake Kinrin and ones of large individuals from the other river but not visible in the seminal lobules of testes of small males. Thus, early maturation was confirmed in the testes of small males from the Lake Kinrin.
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