小麦の散播栽培に関する研究 (第1報)散播栽培法と慣行栽培法の比較
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概要
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本試験は1964年~1965年に亘り,岡山大学農学部附属農場の畑地圃場において,小麦品種シラサギコムギを供試し,小麦の増収と労働生産性を高める一方法として,小型機械を用いる散播栽培の実用性を確めるために,これを慣行法による条播栽培と比較し,収量と収量構成諸形質の現われ方,小麦の品質,所要労力,経済性などについて考察した.その結果の概要は次の通りである.1)10a当り収量は小型機械による散播は慣行による条播にまさり,それぞれ429.76kg及び358.09kgとなった.このような結果は,前者が後者に対して単位面積当りの穂数が多かったことによるものである.2)穀粒の品質及び粒の充実度は散播は条播よりきわめてわずかに劣る傾向が見られたが,実用的に相違はなかった.3)10a当り所要労働時間は散播は21.66時間,条播は29.21時間となり,岡山県平均の94.5時間,あるいは全国平均の104.2時間に比較して,著しく短縮された.また労働1時間あたり,小麦生産量は,条播12.2kgに対し,散播は19.8kgとなった.4)栽培面積を1haと仮定し,散播法と慣行条播法の経済性を比較すると,前者は後者より34,834円収益が増加する計算となり,その主な理由は前者の所要労力が節約されること,および穀物収量の増加による.またこの仮定に基づいてその分岐点を求めた結果は経営面積30aとなる.すなわち,30a以下の作付では慣行条播法が有利であるが,30a以上になれば面積増大に伴って,条播栽培に対する,散播栽培の収益は増大する。
- 岡山大学農学部の論文
岡山大学農学部 | 論文
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