水稲の散播に関する研究 (第3報)栽培方式を異にする水稲の個体および群落の特性
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概要
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筆者は1963年,岡山大学農学部附属農場水田において,水稲品種アケボノを供試し移植栽培,条播直播栽培,散播直播栽培のそれぞれについて,イネ個体および群落の生育ならびに収量構成機構の比較検討をおこなった.その結果はつぎの通りである.1)草丈は散播においては移植および条播に比較して著しく,短かくなる.2)茎数の増加は最高分ケツ期までは,散播条播いずれもきわめて顕著であり,移植の茎数をはるかに上まわる.散播では最高分ケツ期以後穂孕期までは茎数の減少が著しいが,それ以後成熟期までほとんど減少しない.移植は最高分ケツ期の茎数が少ないのみならず,穂孕期から成熟期まで茎数は徐々に減少し続ける.条播の茎数は最高分ケツ期から穂孕期までは散播に近い減少率を示すが穂孕期以後の減少は移植よりも著しい.3)移植栽培と湛水直播栽培の出穂期および成熟期を揃えるためには,移植(35~36日苗)期より条播では20日前,散播では18日前に播種する必要がある.4)移植は有効茎数増加が至難であり,収量増大するためには,平均1穂粒数と1穂平均重量の増加がきわめて重要な要因となる.これに反し直播は必要茎数確保が容易であり,倒伏しない範囲で,茎数を増加すれば他の要因にかかわりなく,比較的容易に増収可能となることが判明した。
- 岡山大学農学部の論文
岡山大学農学部 | 論文
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