ジャガイモガGnorimoschema operculella(ZELLER).の発育に及ぼす恒温の影響
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概要
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1. 1954年5月広島県川尻町にジャガイモガが侵入土着せるを確認し,わが国に土着した個体群について,その生態を明らかにするため,まず各種恒温の各ステージに及ぼす影響を調査した. 2. 各ステージとも,実験した恒温の10~40℃の範囲にわたり発育がおこる.そして発育日数は10~35℃の間に於いて温度の上昇につれて減少した.発育限界温度は明らかにし得なかつたが発育率及び健全虫率よりみて,各ステージ共,低温限界は10℃以下に,高温限界は40℃付近にあるものと考えられる.10℃に於いても各ステージ共50%の割合で発育出来,小部分ではあるが成虫は正常に交尾,産卵すること, 40℃では孵化はおこらぬが胚子発育は完全におこること,他のステージでは正常な発育が出来ない点等は注目に価する. 3.発育速度曲線,発育の正常さ,蕃殖力等よりみて,適温範囲は各ステージ共,15~33℃にあると考えられる.しかし発育速度の最も速いのは各ステージ共に35℃である. 4. 35°,38℃のような高温に前蛹期,蛹期を経過した雄は不妊となるが,雌は同様の条件で不妊になることはない. 5. 幼虫期は雄が雌に比し短かく,蛹期は逆に長い.前蛹期は両者で殆んど同一である. 6. 各ステージの全発育期間中にしめる割合は各温度を通じて殆んど等しいが,低温に向つて卵期のしめる割合が増大し,逆に幼虫期のしいる割合が減少し,他のステージでは変化がないという傾向がみれる。
- 岡山大学農学部の論文
岡山大学農学部 | 論文
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