保温紙及びビニール布の育苗効果に関する研究 I.保温紙の物理的性質に関する研究(第1報) II.保温紙の品質が苗の成育に及ぼす影響について(第2報)
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概要
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1.本試験は第1報に記載した水稻育苗促進に用いられる被覆用紙の物理的性質が発芽並に苗の素質に及ぼす影響に就いて調査したものである. 2.本実験に用いた保温紙は第1報所載のものと同一で,水稻品種は旭4号である. 3.調査は気温,水温,地温,草丈,葉数,根長,根数,葉色,生体重,風乾重及成苗歩合等に就いて比較した. 4.地温上昇並に保持効果は保温紙の物理的性質の差異に応じて現れ苗の生育に差異を生したが,塩化ヒニール布では時に生育に不適当な高温になつたこともあつた. 5.低温時には保温の効果が草丈の伸長に現はれ,高温時には根部の発達にも役立つた. 6.保温は苗の重量増加を増し乾物率は低温時より高温時の方が高い. 7.低温時の保温苗は裸地苗より軟弱となるが高温時は裸地苗よりも強剛となる. 8.塩化ビニール布は発芽歩合を高め,最も良苗を得たが,通気に考慮を払ひ被覆期間は長期に亘らぬことが大切である. 9.ビニール塗紙は保温性を欠き,苗の生育は梢遅れるが,除紙後の生育は良好である.但し紙質が不良であるから取扱ひに注意を要する. 10.メラミン樹脂加工紙は保温育苗の効果が低く,紙質も不良,苗の生育もよくないから一考を要する. 11.油紙類は発芽歩合が梢劣るが,保温性に富み苗の素質も良好である.併し,中には不良なものもあるからその選択には注意を要する。
- 岡山大学農学部の論文
岡山大学農学部 | 論文
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