ラット受精卵の凍結保存に関する研究、とくに凍結過程における氷晶形成と生存性について
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概要
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8% DMSOあるいは5% グリセリン添加のラット胚盤胞の凍結後の生存性を検討した. 8% DMSOを加え,DAからLN2ガス10分静置後LN2に浸漬したものが最も良好な成績が得られ,5% グリセリンを加え,DAから同様の法によるものは著しく劣った. いずれもDAから直接LN2へ浸漬した場合は生存胚は得られなかった. 細胞内凍結を観察するために,凍害防御物質を含まない液でラット1cell胚を凍結し,低温顕微鏡によって観察したが,Flashing直後は不透度が急激に増し,数分後には移動再結晶による不透度の低下を招いた. ラット胚盤胞を同様に凍結した場合,-20℃で細胞外氷晶の移動が止まり,卵細胞の萎縮はわずかで原形に近い形で固定され細胞内凍結が想像された. 5% グリセリン加媒液で凍結した場合,移動再結晶誘起後の緩冷によって細胞外氷晶の増大と胚盤胞の萎縮が観察された. しかし,その氷晶形の移動とその変化は,-80℃以下では認められず,胚は脱水不充分のままでそれ以下の温度で細胞内凍結を招来していることが推察された. 8% DMSO加媒液で凍結した場合,氷晶の形成と移動はグリセリンと同様の経過を示したが,-80℃からDMSOの共晶点まで細胞外氷晶の角化と増大が認められ,胚の萎縮もその温度まで続いた. さらに-150~160℃付近において氷晶形の配列とは無関係に氷晶部に亀裂が入り,それ以後,-197℃まで変化は認められなかった. また,細胞内の不透度の変化は全温度域を通じて認められず,細胞内凍結はごく一部かあるいは生じていないことが想像された。
- 岡山大学農学部の論文
岡山大学農学部 | 論文
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