人工不妊昆虫の生態に関する研究 IX.137Csガンマー線によるミカンコミバエの不妊の世代的変動
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概要
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ミカンコミバエの羽化2日前の蛹に137Csガンマー線7.5KRを照射し,羽化した雄成虫と無処理の雌成虫とを交配し,次の代に得られた成虫の雄・雌(F1♂・F1♀)からF1♂×F1♀,とさらにF1♂・F1♀と無処理の子孫の成虫,U1♂・U1♀とから,それぞれF1♂×U1♀,U1♂×F1♀の組合せをつくり,上記3種の組合せから出発して5世代間,Fn♂×Fn♀,Fn♂×Un♀,Un♂×Fn♀(n=2,3,4,5)など各種の組合せを実施し,それぞれの孵化率・蛹化率・羽化率および成虫の生存日数を調査した. F1♂×F1♀,F1♂×U1♀,U1♂×F1♀より得られた孵化率は大体この順序に「低」から「高」へ変化し,最低のF1♂×F1♀において,対照U1♂×U1♀の約1/2であった. U1♂×F1♀からは比較的高い値が得られたが,対照よりはかなり低かった. F1♂×F1♀の子孫は,特に同系の組合せから低い孵化率の値が4世代間保たれるが,F1♂×U1♀やU1♂×F1♀からの子孫では親の組合せいかんによって,F3あるいはF4の世代以降に対照と大差ない値がみられた. したがってミカンコミバエのInherited sterilityは,その子孫に認められるのは言え,その程度は鱗翅目害虫などに比べて大きいものではないことがわかった. 処理した個体を含む組合せの累代飼育系統の子孫の蛹化率や羽化率は,はじめの台世代ぐらいまでは,対照と比べてやや伝いので,処理したガンマー線の影響を子孫の発育中にも認めることができた. 成虫の生存日数はその結果がまちまちであったが,総合的結論を下すと,雄では対照と大差がないか一般にやや短かい傾向を示し,雌では大差がない場合もみられるが,やや長い傾向がうかがわれた。
- 岡山大学農学部の論文
岡山大学農学部 | 論文
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