<原著>酸化低比重リポ蛋白(酸化LDL)によるヒト培養軟骨細胞の単球走化性蛋白-1(MCP-1)発現亢進 : レクチン様酸化低比重リポ蛋白受容体(LOX)-1との結合による核内転写因子NF-κB活性化の関与
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概要
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血管内皮の酸化LDL受容体として同定されたレクチン様酸化低比重リポ蛋白受容体-1 (Lectin-like oxidized LDL recptor-1,LOX-1) の軟骨細胞での発現が示され,酸化低比重リポ蛋白(酸化LDL) と軟骨変性の関連が注目されている.一方,軟骨細胞は単球走化性蛋白(Monocyte chemoattractant protein-1,M CP-1)を発現し,関節炎症および軟骨変性に関与することが示されている.本研究の目的はヒト軟骨細胞培養系での酸化LDLによるMCP-1発現を検討することである.まず,酸化LDLによるMCP-1発現をRT-PCR法およびELISA法により検討した.また,抗ヒトLOX-1モノクローナル抗体による抑制実験を行った.さらに,酸化LDLによるNF-κB活性化およびNF-κB活性化抑制剤によるMCP-1発現の抑制を検討した.酸化LDL添加はmRNA,蛋白レベルで経時的・経量的にMCP-1発現を亢進し,抗ヒトLOX-1マウスモノクローナル抗体は酸化LDLによるMCP-1発現を抑制した.さらに,酸化LDL添加はNF-κBを活性化し,NF-κB活性化抑制剤は酸化LDL添加によるMCP-1発現を抑制した.本研究結果はヒト軟骨細胞において酸化LDL・LOX-1系はNF-κBの活性化を介してMCP-1発現を亢進することを示唆しており,この系が関節症において軟骨変性に関与するとの仮説を支持する.
- 近畿大学医学部,キンキ ダイガク イガクブ,Kinki daigaku igakubuの論文
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