<原著>実験的自己免疫性脳脊髄炎に対するphosphodiesterase阻害剤,cilostazolの治療効果
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概要
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Phosphodiesterase (PDE) はcAMP,cGMPを加水分解する酵素であるが,様々なPDE阻害薬は多発性硬化症(multiple sclerosis : M S)のモデル動物である実験的自己免疫性脳脊髄炎 (experimental autoimmune encephalomyelitis : EAE)を抑制すると報告されている. CilostazolはPDE IIIを選択的に阻害し,その血小板凝集抑制作用や血管拡張作用により虚血性疾患の治療に用いられている. さらにcilostazolには接着分子の発現抑制作用もあると報告されている. 今回,我々はcilostazolのEAEに対する治療効果を検討した. C57B1/6マウスを myelin oligodendrocyte glycoprotein (MOG)_<35-55> で感作し ci1ostazol含有餌を与えた群と,通常餌を与えた群に分けて飼育した. Cilostazol群ではコントロール群に比べて有意にEAE重症度, MOG反応性T細胞増殖や,IFN-γ産生,血清中可溶性 intercellular adhesion molecle-1 が低下していた. 以上より, cilostazolは自己反応性T細胞増殖や接着分子の発現を抑制することによりEAEを抑制すると考えられる. CilostazolはMSの治療薬となる可能性があり,ヒトにおける治療効果や耐用性についてなどさらなる検討が必要である.
著者
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