<原著>ラットを用いたω-3系不飽和脂肪酸静脈内投与による免疫賦活の至適条件設定と、重症急性膵炎モデルにおけるその検証
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脂肪乳剤の経静脈投与による免疫賦活を目的として，魚油をベースとしたω3系不飽和脂肪酸を種々な比率で添加した脂肪乳剤を作成し，ラットに経静脈的に投与した場合の，脾細胞膜のリン脂質の変化を解析した. 魚油を配合してω3系不飽和脂肪酸を増強した乳剤の投与により抗炎症効果の指標とされるEPA/AA比を短期間で増加させ得ることが明らかとなった.この脂肪乳剤をラット重症急性解炎モデル作成直後から投与すると，膵炎作成後3日目に採取した脾細胞は，大豆油ベースの脂肪乳剤を投与された場合と比較して， IL-2やINF-γ産生能の亢進など免疫反応、が賦活化されていた. この魚油ベースの脂肪乳剤は経静脈的投与により短期間で免疫賦活が可能であり，経腸投与が困難な重症急性膵炎などでも，腸管経路を使用しない免疫賦活療法となり得ると考えられ，重症急性膵炎において，感染の成立，あるいは感染の重症化を阻止しうる有効な治療手段となる可能性が示された.