総説:初期胚におけるヒストンH3.3を介した遺伝子発現開始の制御機構
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概要
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哺乳動物の初期胚が正常な胚発生を進めていく上で、受精後のDNA メチル化やヒストンアセチル化などのエピジェネティック修飾のダイナミックな変化は重要であると考えられている 1 ), 2 )。さらに、最近の研究によりヒストン修飾の変化だけでなく、ヒストンバリアントも遺伝子発現制御機構やDNA 修復機構に深く関与していることが明らかになりつつある。これまで、ヒストンバリアントの機能について、多くの研究が行われてきたが、2005 年にショウジョウバエの雄性前核形成不全変異体が発見され、この変異の原因として、ヒストンH3.3 が雄性前核に正しく取り込まれないことが明らかになった 3 )。しかし、ヒストンH3.3 が哺乳動物の初期胚で果たす詳細な機能に関しては、知見がほとんどない。そこで、本稿ではヒストンH3 のバリアントであるヒストンH3.3 に着目して、ヒストンH3.3 の特性を示し、さらにショウジョウバエやマウス初期胚における局在解析を紹介する。そして、最後にヒストンH3.3 の特性を利用したマウス初期胚における遺伝子発現制御機構解明への展開について概説する。
- 近畿大学先端技術総合研究所,キンキ ダイガク センタンギジュツ ソウゴウ ケンキュウショ,Kinki daigaku sentangijutsu sogo kenkyushoの論文
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