嫌色素細胞腎癌16例の臨床病理学的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
病理組織学的に嫌色素細胞癌と診断された16例を対象に,臨床病理学的検討を行った.病理組織学的に腎細胞癌と診断された症例は389例であり,嫌色素細胞癌は16例,4.1%であった.病理組織学的に嫌色素細胞癌単一型を示した14例のうち,無症状で超音波,CTスキャンなど画像検査で発見された偶然例が10例を占めた.有症状例は4例で,肉眼的血尿3例,腹部腫瘤1例であった.年齢分布は16～74歳であった.14例は嫌色素細胞腎癌単一像,1例が肉腫様癌との混合型,1例がBellini管癌との混合型であった.嫌色素細胞腎癌単一型14例の予後は良好であったが,肉腫様癌,Bellini管癌との混合型の2例は予後不良であった.造影CT,血管造影では全例がhypovascular tumorの所見であった.予後不良の2例では術前診断時にCRP,IAPの上昇を認めたPathological characteristics, patient outcome, and preoperative examinations of 16 cases (4.1%) of chromophobe renal cell carcinoma (RCC) observed among 389 patients with RCC treated at Yokohama City University Hospital and Yokohama City University Medical Center between 1991 and 2004 were analyzed. The age distribution was 16 to 74 years old (average age; 50.9 +/- 17.0). Pathologically, 14 patients had pure chromophobe RCC, and two patients had chromophobe RCC coexisting with aggressive pathological elements, that is, sarcomatoid change in one patient and collecting duct carcinoma in the other. The average tumor size was 7.1 +/- 4.1 cm. On preoperative imaging studies with enhanced computed tomography or angiography, all cases showed a hypovascular pattern. C-reactive protein (CRP) and immunosuppressive acidic protein (IAP) were increased specifically in the two cases coexisting with aggressive pathological elements. Fourteen cases showing pure chromophobe RCC did not metastases on preoperative examination. Thirteen cases were treated by nephrectomy, and another was treated by partial nephrectomy. To date there have been no recurrences during the 6 to 160 months postoperative follow-up. The patient with a mixture of chromophobe RCC and sarcomatoid change (pT3aN0M0) died of multiple lung metastases 18 months after nephrectomy. The patient showing a mixture of chromophobe RCC and collecting duct carcinoma demonstrated metastases to the paraaortic lymph nodes at preoperative examination (pT1bN2M0), and died of multiple lung and bone metastases and carcinomatous peritonitis 8 months after nephrectomy. The patients with pure chromophobe RCC had a favorable prognosis, but those with a mixed type including aggressive elements such as sarcomatoid change or collecting duct carcinoma, showed a poor clinical course. The increase in CRP or IAP could predict poor prognosis in such cases.
- 泌尿器科紀要刊行会の論文
著者
-
矢尾 正祐
横浜市立大学 医学部 泌尿器科
-
近藤 慶一
秦野赤十字病院 泌尿器科
-
中井川 昇
横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学
-
近藤 慶一
横浜市立大学附属市民総合医療センター泌尿器科・腎移植科
関連論文
- PP-601 前立腺生検と前立腺全摘標本における一般病理医のGleason scoreと泌尿器病理医のGleason scoreとの比較(前立腺腫瘍/診断・マーカー1,一般演題ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- MP-244 Composite collecting duct-derived renal cell carcinoma with chromophobe and collecting duct carcinomatous elements
- 腎細胞癌における SPARC/osteonectin の発現に関する検討.
- PP-429 再燃前立腺癌に対するドセタキセル療法の長期投与についての検討(前立腺腫瘍/薬物療法1,一般演題ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- 馬蹄腎に合併した尿管癌に対する腹腔鏡下半腎尿管全摘術の経験
- New Target紹介(基礎の最近のtopics) (Topics of RCC--分子標的治療の最前線)
- von Hippel-Lindau病に合併した両側褐色細胞腫,異時性両側腎細胞癌の1例
- OP-360 経直腸的超音波検査における第2世代超音波造影剤(ソナゾイド)の前立腺癌描出能に関する検討(第2報)(前立腺腫瘍/診断・マーカー4,一般演題口演,第97回日本泌尿器科学会総会)
- PP-006 当院での表在性膀胱癌のTUR-Bt後再発率に関しての検討(膀胱腫瘍/手術1,一般演題ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- PP-150 進行癌・再発癌における経皮的腎ろう造設術についての検討(上部尿路/機能,一般演題ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- PP-636 当院における内視鏡補助下小切開前立腺全摘術の手術成績に影響をおよぼす因子についての検討(前立腺腫瘍/ミニマム創手術・HIFU,一般演題ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- OP-214 Stage D2前立腺癌症例に対するホルモン療法とゾレドロン酸併用療法に関する前向き多施設共同臨床試験の中間報告(前立腺腫瘍/薬物療法4,一般演題口演,第97回日本泌尿器科学会総会)
- PP-091 アンジオテンシンIIレセプターブロッカーによる前立腺全摘後PSA再発の延長効果(前立腺腫瘍/薬物療法1,一般演題ポスター,第96回日本泌尿器科学会総会)
- OP-285 前立腺肥大症に伴う排尿障害に対するシロドシンの服用後早期効果に関する多施設共同臨床研究(SELECTIVITY)(前立腺肥大症/診断・薬物療法2,一般演題口演,第96回日本泌尿器科学会総会)
- 最近12年間における腎癌549例の臨床的検討
- 活性型Vitamin Dと9-cis Retinoic Acidは,Telomerase活性の抑制を介して,前立腺癌細胞の増殖を抑制する.
- ヒト前立腺癌細胞株における9-cis RAとCalcitriolのhTERTのmRNA発現抑制作用に関する検討
- Ecdysone-inducibleの系を用いたVHL inducible cloneの作成・機能解析
- PP-262 横浜市立大学関連施設における膀胱癌の臨床集計結果(統計・経済・歴史・疫学1,一般演題ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- OP-253 治癒切除可能であったpT3b,pT3c腎細胞癌に対するインターフェロン-αの再発予防効果の検討(腎腫瘍/薬物療法1,一般演題口演,第96回日本泌尿器科学会総会)
- MP-253 Renal oncocytosis. A case report
- APP-018-PM 腎癌におけるAquapolin 1遺伝子発現とその診断有用性、臨床応用についての検討(総会賞応募ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- PP-434 淡明細胞腎癌の3遺伝子発現による予後判定モデルの作成(腎腫瘍/診断・マーカー/薬物療法,一般演題ポスター,第96回日本泌尿器科学会総会)
- PP-411 根治的前立腺全摘除術後の予後と adjuvant 療法、PSA再発後のPSA doubling time と salvage 治療についての検討(第95回日本泌尿器科学会総会)
- PP-093 腎癌における血清Caと腎癌組織中PTHrp発現に関する検討(第95回日本泌尿器科学会総会)
- PP-065 淡明細胞腎癌、予後不良群に特異的な発現遺伝子の同定(第95回日本泌尿器科学会総会)
- PP-060 腎細胞癌に対する既存抗癌剤の抗腫瘍効果に関する検討(第95回日本泌尿器科学会総会)
- OP-037 後腹膜鏡下根治的腎摘除術 : 小切開を先行させる術式(第95回日本泌尿器科学会総会)
- VHL癌抑制遺伝子の欠損により、cyclinD1は接触阻害による発現制御を受けなくなる
- 腎癌--分子標的治療薬時代のサイトカイン療法の役割 (特集 泌尿器科の癌薬物療法--ここが聞きたい)
- APP-082 MET蛋白シグナルを標的とした腎細胞癌に対する新規治療法の検討(副腎腫瘍・腎腫瘍/基礎,総会賞応募ポスター,第96回日本泌尿器科学会総会)
- S3-5 腎非淡明細胞癌の分子生物学的特性と治療戦略(転移性腎非淡明細胞癌の治療戦略,第96回日本泌尿器科学会総会)
- PP-054 定量的リアルタイムPCR法によるVHL家系の遺伝子欠失変異の検出(第95回日本泌尿器科学会総会)
- 腎癌の癌遺伝子・癌抑制遺伝子 (腎・泌尿器癌--基礎・臨床研究のアップデート) -- (腎癌 基礎研究)
- RCC発生のメカニズム (Basic Profiling of RCC)
- 副腎悪性腫瘍 (特集/泌尿器悪性腫瘍--最新の診断と治療)
- 複雑性尿路感染症に対する fleroxacin (FLRX) の投与時期(朝・夕)別有用性の検討
- 腎癌における cyclinD1 の過剰発現
- MP-495 再燃前立腺癌におけるrenin-angiotensin system componentsの動態(一般演題ポスター,第94回日本泌尿器科学会総会)
- MP-494 前立腺癌細胞株におけるAngiotensinのNeuroserpin発現誘導についての検討(一般演題ポスター,第94回日本泌尿器科学会総会)
- MP-459 早期前立腺癌に対するヨード125シード線源を用いた密封小線源治療(ブラキセラピー)の術後経過についての検討(一般演題ポスター,第94回日本泌尿器科学会総会)
- 前立腺癌におけるGRIP1の発現に関する検討(第93回日本泌尿器科学会総会)
- ホルモン非依存性再燃前立腺癌の docetaxel 療法(第93回日本泌尿器科学会総会)
- PP4-102 前立腺全摘術後の高感度PSA測定の有用性について(一般演題(ポスター))
- 淡明細胞型腎癌におけるVHL遺伝子の不活性化は、MET-β-catenin-cadherin複合体を介してMET蛋白をリガンド非依存性に活性化する
- MP-705 泌尿器癌に対するgemcitabine,nedaplatin併用化学療法の検討(一般演題ポスター,第94回日本泌尿器科学会総会)
- OP-148 腹腔鏡下副腎摘除術 : 経腹膜と後腹膜アプローチ、左右の比較検討(一般演題口演,第94回日本泌尿器科学会総会)
- 腎・副腎に対する後腹膜鏡下手術における腹膜損傷の検討
- 前立腺癌に対するヨード125シード線源を用いた密封小線源治療 (ブラキセラピー) の経験(第93回日本泌尿器科学会総会)
- 系統的前立腺12ヶ所針生検の有用性の検討(第93回日本泌尿器科学会総会)
- 転移・再発をきたした腫瘍径4cm以下の腎細胞癌についての検討(第93回日本泌尿器科学会総会)
- VHLによる接触阻害の分子機構
- VHL癌抑制遺伝子産物pVHLは細胞密度の上昇とともに増加し,細胞増殖を抑制する.
- アデノウイルスベクターによるVHL遺伝子の腎癌細胞への導入と増殖抑制能についての検討
- PP-247 根治的前立腺全摘術後尿失禁に対する干渉低周波治療についての検討(発表・討論,一般演題ポスター,第98回日本泌尿器科学会総会)
- APP-068 ^F-FDG PET/CTによる進行性腎細胞癌の臨床経過予測の検討(発表・討論,総会賞応募ポスター,第98回日本泌尿器科学総会)
- 高齢者の複雑性尿路感染症に対するCIPROFLOXACINの有効性と安全性の検討
- 塩酸タムスロシンからナフトピジルへの変更症例におけるIPSS・QOLスコアの検討
- ヒト腎腫瘍におけるD-type cyclin の発現解析及び臨床病理との関係について
- 腎腫瘍におけるCYCLIN D1,D2の過剰発現
- 本邦von Hippel-Lindau(VHL)病の病態調査の結果について
- PP-556 腎細胞癌有転移症例における術前CRP値の検討(発表・討論,一般演題ポスター,第98回日本泌尿器科学総会)
- 膿腎症穿刺ドレナージ後に敗血症, 急性腎不全を合併した1例
- 特異な経過を呈した睾丸腫瘍の1例 : 第463回東京地方会
- リアル・タイムPCR法によるVHL家系の遺伝子欠失変異検出の試み(第93回日本泌尿器科学会総会)
- Microwave Tissue Coagulator（マイクロターゼ®）を用いた腎部分切除術の経験
- APP-019 遺伝子発現解析にもとづく淡明細胞腎癌の転移関連遺伝子群の探索と予後予測モデルの構築(総会賞応募ポスター,第94回日本泌尿器科学会総会)
- 遺伝子発現解析にもとづく淡明細胞腎癌の再発予測モデルの構築(第93回日本泌尿器科学会総会)
- 嫌色素細胞型腎癌、腎 oncocytoma で特異的に高発現している遺伝子群の同定と診断への応用(第93回日本泌尿器科学会総会)
- 遺伝子発現解析から俯瞰した腎細胞癌の特徴 : 淡明細胞型及び嫌色素細胞腎癌を中心に(「腎細胞癌の新しい分類と細胞生物学的特徴」)
- PP3-102 前立腺癌におけるTS,DPD,TP,OPRTのmRNA発現と臨床的意義の検討(一般演題(ポスター))
- PP3-027 淡明細胞型腎癌におけるMET蛋白の発現とリン酸化状態の臨床的意義に関する検討(一般演題(ポスター))
- Von Hippel-Lindau病のtumor suprresor gene及びmicrosatellite geneの解析
- HGF antagonist NK4による腎細胞癌の増殖抑制
- MP-351 根治的前立腺全摘術後尿失禁に対する干渉低周波治療についての検討(一般演題ポスター,第94回日本泌尿器科学会総会)
- Prognostic significance of serum p53 antibodies in patients with androgen ablation therapy for prostate cancer
- TUR-P術後排尿機能予測における排尿時膀胱尿道造影の可能性
- アクティブバースは、尿失禁を増加させるか? : ICIQ-SF(International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form)による評価
- HGFによる腎細胞癌の増殖促進とHGF antagonist NK4によるその抑制
- 淡明細胞腎癌におけるMET蛋白活性化機序の解析
- 腎癌におけるVHL遺伝子変異と臨床病理因子及び予後との関係 : VHL変異陽性は予後良好因子である
- 前立腺癌診断におけるPSAのF/T比の検討
- PSA-α1-antichymotrypsin複合体測定の臨床的意義 : F/T比との比較
- 脊髄血管芽腫の外科治療と遺伝子診断
- ヒト膀胱癌におけるMTS1(p16)遺伝子の構造異常
- 前立腺再生検におけるFree/Total PSA比の意義
- 後腎性腺腫Metanephric adenomaの5例
- K252aの淡明細胞型腎細胞癌に対する抗腫瘍効果の検討(第93回日本泌尿器科学会総会)
- 透析腎に合併した腎細胞癌におけるVHL及びc-Met遺伝子の変異解析
- ヒト腎癌細胞におけるc-myc遺伝子の発現抑制と細胞膜イノシトールリン脂質代謝の調節について
- 癌の遺伝子診断 (特集 遺伝子研究の進歩と臨床応用)
- 前立腺癌におけるNPATの発現検討(第93回日本泌尿器科学会総会)
- 局所浸潤膀胱癌に対する膀胱全摘除術施行症例の予後規定因子の解析
- von Hippel-Lindau病の1家系における遺伝子解析
- 腎細胞癌の分子標的治療の理論的根拠 (AYUMI 腎細胞癌の分子標的治療)
- Cyclophosphamide (Endoxan) 投与後に発症した膀胱腫瘍の1例 : 第465回東京地方会
- かかりつけ医から専門医への質問 家族性に腎がんを発症するVHL病に関して教えてください (患者・家族の相談に応える がん診療サポートガイド) -- (腎がん)
- Bio-Pump を用いて下大静脈腫瘍塞栓摘出術を行った腎細胞癌の1例
- 精巣腫瘍における SPARC/osteonectin の発現に関する検討 : 第86回日本泌尿器科学会総会
- 乳頭状腎細胞癌における c-Met 遺伝子の変異解析