エダマメとラッカセイの混作に関する基礎的研究
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概要
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近年、世界における食糧生産量の増加は、地球の耕地面積の拡大が限界に近づいてきているため、もっぱら単位面積当りの収量(以下、単収)増加によって達成されてきた。今後も、増加する人口を扶養するために、単収を引き続き向上させることが不可欠である。単収増加の方策として、品種改良、化学肥料の施用、農薬散布、作付様式・作付方式の改良、機械化などが挙げられる。しかし、化学肥料や農薬、機械化などにかかわる技術の進歩によって、単収は飛躍的に増加したが、これらの大量投入などの影響が水質汚染や酸性雨などを発生させるなど、水や大気を介して人間生活に及ぶようになってきた。また、遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーによる新品種開発についても様々な問題点が指摘されている。そこで、この種の単収増加技術への過度の依存を回避で、きる環境保全型の作物生産技術を構築することが、これからの課題の一つである。ところで、これからの作物生産において必要なことは、①耕地面積を拡大することなく、時間的にも空間的にも、土地利用の効率的化を図ること、②人体や環境に悪影響を与える化学肥料や農薬の使用を低下させ、それに代わる方法を開発すること、③これらを可能な限り低コストで実施すること、等々であると思われる。このような観点から、最近、作付様式・作付方式の改良が注目されている。わが国では、これまで続けてきたコメ(イネ)の生産調整の見直しとともに、ムギやダイズなどの作付様式・方式の再検討が行われようになった。これまでムギやダイズなどの作付(方式)は1年1作物栽培が主であったが、これを「輪作」方式に転換しようとする動きが見られる。これは、第一に、輪作作物に土壌保全の役割を担わせるとともに、輪作で休閑を減らし、環境・景観・国土の保全に役立たせる。第二に、ムギ、ダイズなどを輪作作物として導入することで実質的な生産調整になるとともに、これら作物の自給率を向上させる。第三に、必須食糧の生産基盤の確保により食糧安全保障を確保する。第四に、休耕ではなく輪作による生産継続が、農家の労働力配分の均衡化につながる、ことなどによると思われる。また、作付様式にも工夫が見られ、同じ土地に同時期に異種作物を栽培する混作、同じ土地に前作物の収穫前に後作物を植え付ける間作が行われているが、これらは、土地を有効に活用するとともに、温度条件などにより作物の生育期間の確保が厳しい地域での作物栽培に有効であると思われる。以上のように、限られた土地を効率よく利用するための作付方式・様式や、輪作や混作・間作における組み合わせ作物を検討することは大変重要で、これらに関する研究も盛んに行われており、特に、マメ科作物を輪作体系に組み込む例が多い。マメ科作物は根粒菌と共生することにより、空気中の窒素を固定し養分として利用でき、やせ地においても良く育つだけでなく、その栽培跡地には窒素分が多く残るため、マメ科作物と他作物との混作は極めて適切な作付け様式である。一方、マメ科作物どうしの混作に関する研究報告や実践例は殆どない。そこで、本研究では、作物の混作による効果や混作に適する作物の組み合わせを明らかにする第一歩として、マメ科作物であるエダマメ(青刈りダイズ)とラッカセイを混作栽培し、その収量等を単作区と比較検討することとした。また、これに加え、バイオマス炭(モミガラ爆炭)施用の効果の検討を通じて、低地力土壌の地力向上についての方策の一端を明らかにしようとした。