1%キトオリゴ酸の腹腔内投与がマウスの皮膚創傷治癒過程におよぼす効果
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概要
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PURPOSE: Since systematic administration of 1% chitooligosaccharide facilitates wound healing of the oral mucosal membrane, we investigated whether 1% chitooligosaccharide injected intraperitoneally would promote healing of full-thickness skin wound in mice. METHODS: The experimental period was 14 days. Thirty-four mice were divided into two groups. Two full-thickness skin wounds were made on the mouse dorsum under anesthesia. The control group was intraperitoneally injected with 0.2ml saline per day for 14 days after wounding. The experimental group was intraperitoneally injected with 0.2ml chitooligosaccharide after wounding. Wounds were covered with hydrocolloid dressings. RESULTS: The wound healing process was similar between control and experimental groups, but the woundsize in the experimental group on day 14 was significantly smaller than that in the control group. Although the histological findings such as re-epithelialization, angiogenesis, and deposition of collagen in the experimental group were similar to those in the control group, the ratio of myofibroblasts occupying granulation tissue in the experimental group on 10 day was significantly different from that in the control group. CONCLUSION: Although intraperitoneal injection of 1% chitooligosaccharide probably does not promote healing of full-thickness skin wound, the size of the wound area on day 14 may indicate a slight effect ofchitooligosaccharide on wound healing, and thus warrants further research. キトサンオリゴ糖の腹腔内投与が口腔粘膜における創傷治癒過程を促進するため、キトサンオリゴ糖の腹腔内投与が皮膚創傷治癒過程を促進するのかを検討した。マウスの背部に直径6 mm の円形皮膚全層欠損創を作製した。創作製後0.2 ml の生食を腹腔内投与したコントロール群と0.2 ml の1%キトサンオリゴ糖を腹腔内投与した実験群の創面積を測定し、組織学的観察を行い、新生血管、膠原線維、筋線維芽細胞の肉芽組織に対する割合を求めた。創面積はコントロール群と実験群で創作製後13日目まで同じように縮小したが、ほぼ瘢痕治癒した14 日目に有意差が見られ、実験群がより小さかった。両群の組織学的所見や新生血管、膠原線維の割合に差異はみられなかったが、10 日目での筋線維芽細胞の肉芽組織内の分布に差異が見られ、その割合がコントロール群では実験群より有意に高かった。すなわちキトサンオリゴ糖の創傷治癒過程促進の効果はほとんどないが、14 日目の創面積に有意差が見られたので、さらに検討する必要があると思われる。
著者
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紺谷 千津子
Department of Nursing, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kanazawa University
-
紺家 千津子
金沢大学 医学系研究科保健学専攻臨床実践看護学講座
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