ある高機能自閉症児の情緒(感情)発達と不安のオリジンについて ―母親面接を通して―
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概要
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本論文は,ある高機能自閉症児(A君,言語性IQ:72)の情緒(感情)発達に伴う不安に関して検討したものである。A君が本センターに初来所したのは小1であり,小6まで週1回定期的に来所し療育を終了した。筆者は母親面接,学部生や院生がA君のプレイを担当した。A君はプレイ開始当初よりセラピストと野球や卓球などを好んでしており,人とのかかわりを求めていた。そして次第に情緒発達が促され,家庭や学校等で多様な不安感情を体験するようになった。これらの不安体験の背景として①聴覚過敏に由来する不安,②病気やケガに対する身体の安全に関する不安,③他者評価からもたらされる不安,④自閉性障害(情緒発達障害・認知障害)に由来する不安,以上の4つの不安の源泉が考えられた。そして4つの不安に対して①→回避・逃避,②→強迫観念・行為,③→努力,④→質問癖などによる適応機制を用いていた。そして高学年になるにつれて①②は次第に改善され,③④が課題となってきたが,一般的には,②が高機能自閉症の理解にとって最も重要な不安の起源ではないかと考察された。
- 2007-02-28
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