島尻マージにおける土壌蓄積リンの利用に関する基礎的研究
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概要
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島尻マージに含有される土壌蓄積リンの作物への再利用を目途に,土壌分析およびリン溶解菌の分離を試み,その分離株のリン溶解能について検討を加えた.耕地土壌では作物に利用可能なリン酸は含有されているものの,作物に利用されにくい不溶性のリン酸が高い濃度で土壌に蓄積されていることが推測された.6種類の土壌から100株のリン溶解菌を分離し,それら分離菌のリン溶解能を難溶性リン酸塩を含む培地で検討し,リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウムおよびリン酸鉄に対してリン溶解能が高く有望と思われる1株を選抜した.いずれのリン酸塩に対しても溶解能を示した供試菌22株は,添加炭素源を利用して乳酸,酢酸およびコハク酸等を生成し,これら有機酸の作用でリン酸塩を可溶化すると考えられた.22株は,バカスおよび糖蜜の有機資材を添加した培養液で培養した結果,培地のpHを低下させた.土壌中においてリン溶解菌である22株に有機酸を生成させるためには,可給態の有機物が土壌に投入されることが重要と考えられた.リン酸三カルシウムおよび土壌に22株含有バカスを施用した土壌でナスの生育は促進された.したがってバカスなどの有機資材とともに22株のようなリン溶解菌を土壌に施用すると施用難溶性リン酸または土壌蓄積リンの可溶化を促進し,作物によるリン利用が高まることが示唆された.
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