成人にみられた両側巨大陰嚢水腫の1例
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概要
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31歳男。13歳時に野球の捕手をしており, 陰部に数回ボールが当たった後に両側陰嚢の無痛性腫大を認め, 徐々に増大したが受診していなかった。陰嚢は両側とも小児頭大で, 陰茎は埋没していたが身体所見に異常は認めなかった。CTにより陰嚢内に液体の貯留を認め, 右は11.1×9.1×15cmで左は16.2×10.3×15cmで固有鞘膜の一部は石灰化を伴っていた。精巣, 陰茎に異常は認めず, 末梢血, 血液検査においても異常値は認めず, 精巣腫瘍関連マーカーは正常値を示した。以上より, 外傷性両側陰嚢水腫と診断して両側陰嚢水腫根治術を施行した。陰嚢内容液は黄色透明で右1050ml, 左645mlで, 鼠径ヘルニアの合併症は認めなかった。病理所見では, 切除した固有鞘膜は炎症所見のみで悪性像はなく, 内容液の細胞診は陰性であったが, コレステリン結晶を含んでいた。術後, 陰嚢内に留置したドレンチューブの抜去後に血腫が貯留したため, 血腫除去を2回行った。経過は良好で, 術後8ヵ月で再発は認めず, 通院は終了とした。
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