初期糖尿病患者における網膜機能の解析 1.網膜症発現前における血液網膜柵の透過性機能とERG律動様小波の動態の比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
網膜症を有しない糖尿病患者に対し,Vitreous Fluorophotometry (VFP)およびElectroretinogram (ERG)の手法を同時に用いることにより,網膜機能の解析を行った.対象は40歳から59歳までのインスリン非依存型糖尿病患者29人52眼と,同一年齢群の正常者21人30眼で,蛍光眼底造影検査にて,糖尿病群および正常群ともに網膜に異常所見を認めないことを確認した.なお両群とも屈折範囲を±1.0 D以内と限定し,後部硝子体剥離眼はすべて対象から除外した.血液網膜柵の内方透過性係数(Pin)は,baseline補正した60分VFP値および血漿中free fluorescein濃度を基にcomputer simulation法により算出した.ERGでは,特に律動様小波に着目し,O1頂点潜時などの解析を行った.正常群と比較して糖尿病群では,Pinには有意差を認めず.一方O1頂点潜時は明らかな延長を示した.従って,糖尿病患者における網膜では,網膜症発現前からO1頂点潜時の延長,すなわちneuropathyが認められ,血液網膜柵の透過性亢進は,これに遅れて発現することが推測される
著者
関連論文
- 初期糖尿病患者における網膜機能の解析 2.血液網膜柵の透過性機能,ERG律動様小波の動態と内科的諸因子との関連
- 初期糖尿病患者における網膜機能の解析 1.網膜症発現前における血液網膜柵の透過性機能とERG律動様小波の動態の比較