高齢者に適切なたんぱく質摂取量を考察するための一資料
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概要
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高齢者では低たんぱく質摂取が問題になることが多い。実態を知るため,地域住民のための市民講座(栄養学・食品学)に参加した健康な高齢者57名を対象に,朝食のたんぱく質の摂取状況を調査した。ほとんどの人において,朝食での摂取量はl日の栄養所要量の1/3未満であった。そこで,6か月後の講義で,たんぱく質摂取をもう少し増やすように勧めた。そして,簡単にとれるメニューを示し,また問題点を個別に指摘して改善の方策を助言した。その6か月後,再度同じ調査をしたところ,前回の調査結果と質・量ともほとんど変わりがなかった。食に関する知識を積極的に取り入れようとする高齢者に対して行った講義ではあったが,従来の食生活を変えるほどの効果はでなかった。しかし,「健康寿命」の長い人たちを対象にした調査であったことから,所要量より相当に低いたんぱく質摂取で健康を維持している人たちがいることが示唆された。高齢者のたんぱく所要量に関して,どのような条件が満たされるとき,従来提出されているより低い量で健康が維持できるのかをさらに検討する必要があると恩われる。
- 2005-03-31