実地体験を通した心理学教育の深化—イルカ介在活動への参加・観察から—
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概要
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イメージ先行型といわれる心理学をいかに教育すれば学習効果が高まるかに関心が集まっている。本論文では,実地での参加・観察体験が学習に対する動機づけにどのような効果をもたらすかを,学生による観察体験報告をもとに検討した。学生は専攻生向け授業で動物介在療法を学んだのちに,イルカ介在活動(DAA)の実施現場で,イルカとの伴泳及び自閉症児を対象としたイルカ介在活動プログラムを体験・観察した。伴泳体験では,動物の大きさや,学生の予想を超えた敏捷な水中移動に圧倒され,イルカを知的動物と受け止めつつも攻撃的であるとの否定的回答が目立った。多くの学生はイルカ介在活動を心理学的介入の一手法としての意義を認めるが,イルカを介する積極的意義については確信が持てないようであった。一方,参加者全員が今回の実地体験・観察を感動的体験であったと回答し,学習への動機づけが高まったことを報告した。実地での体験が心理学学習へ与える長期的効果についての系統的研究の必要性と,本プログラムに参加した対象児とその症状に対する学生の理解について捉えきれなかったことが課題である。Amid the growing concern about effective training in psychology, the present study examined the effect of on-site-learning experience upon students' academic aspiration, based on their reports on a dolphin-swimming experience and the program for dolphin assisted activity (DAA). After learning about animal assisted therapy in an advanced psychology class, students visited dolphin feeding station in Sanuki City, Kagawa, and experienced swimming with dolphins and then observed the DAA program for an autistic child. Most of students seemed to have been overwhelmed by the size and unpredictable agile movement of dolphins, and found the animals aggressive as well as intelligent. They recognized the significance of DAA as a means of psychological intervention but were not fully convinced of using dolphins as supporting animals in animal assisted therapy. All participants described this opportunity as moving and stimulating experience and appeared to be motivated in studying psychology deeply. The results suggest the need for further studies in investigating long term effect of on-site-experience on learning motivation and for those assessing students' understanding of children with developmental disorders including autism.
- 2008-09-30
著者
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