生活経営教育における学問的ニーズ
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概要
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本研究は生活経営教育の学問的ニーズを把握するために、家政学会誌の分析と生活経営学部会の研究関心の分析の2つの方向から研究を進めた。その結果以下のような知見を得た。①『日本家政学会誌』の1990年Vol.41No.1から2005年Vol.56No.10までの190冊に掲載されている生活経営学の論文は100本で、この期間の全論分数に占める割合は6.3%であった。②中分類項目の論文数と構成比を見ると、最も多い順に「総論」「生活福祉・協同組合・地域サービス」「生活時間と余暇」「高齢者の生活問題」「職業と家庭」「家事労働」であった。最も少ない項目は「健康・労働と疲労・エネルギー代謝」「生活設計」であった。③2000年以降に学会誌に掲載された生活経営学の論文数は48本であり、生活経営学の論文数は近年増加していることがわかる。中でも最も多かったのは「生活福祉・協同組合・地域サービス」「高齢者の生活問題」「職業と家庭」であった。④部会の名称変更の意味の本質的側面で述べられている内容すなわち生活の個人化、生活の社会化、個人の権利と生活の保障の実現などは、今日の生活経営学の研究の関心の持たれている内容であり、またこれからの研究の方向性を示しているものである。⑤夏季セミナーのテーマの中で、近年特に関心の持たれているのが、生活を総合し個と共同を統一するテーマ、生活経営の担い手としての「生活主体」に関するテーマの二つである。生活の自立・共同・共生に向けていかに生活を組織化するのか、また生活主体としての望ましい姿とは何なのかが、今日最も関心の高い生活経営学部会の研究テーマと言えるであろう。以上のように、生活経営教育に対する学問的ニーズを把握することができた。今後は教育的ニーズの分析を行い、社会的ニーズ及び学問的ニーズの分析結果と合わせ、教育的価値に照らしてこれらを教育的ニーズとして統合していく必要があると考えている。
- 三重大学教育学部の論文
- 2006-03-31
三重大学教育学部 | 論文
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