急性腹症を伴った虫垂粘液嚢腫の 2 例

概要

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症例 1 は 56 歳女性．下腹部痛を主訴に受診．腹部超音波・CT 検査にて盲腸内側後方に約 6cm 大の嚢胞性腫瘤を認め，虫垂膿瘍を疑い，手術を施行．術中所見にて虫垂粘液嚢腫と診断し，回盲部切除術を施行した．切除標本にて虫垂は嚢腫状に腫大し，内腔にはゼリー状物質が充満していた．病理組織診断は粘液嚢胞腺腫であった．症例 2 は 45 歳女性．右下腹痛を主訴に受診．急性虫垂炎の診断で盲腸部分切除術を施行した．切除標本にて虫垂内腔は粘液および粘液塊で満たされており虫垂粘液嚢腫と診断し，病理組織診断は mucocele 様の変化をきたした acute and chronic appendicitis であった．虫垂粘液嚢腫は虫垂切除例の 0.08％～4.1％にみられ，しばしば右下腹部痛を伴い，虫垂炎の診断で虫垂切除時に発見されることがある．虫垂粘液嚢腫の良悪性の鑑別は組織学的検査によるため，確実な外科的切除が重要であると考えられた．
三重医学会,三重大学の論文
2006-03-25