ケア論の再考 : 民族誌的アプローチへ向けて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ケアに関する議論が長い間続いている理由は、迅速な対応を迫られている社会問題と密接に関わっていることだけでなく、「ケア」という用語に持たされる意味の曖昧性にもある。このことは、ケアを論じる論じ方の多様性にも反映し、議論の歯切れの悪さにもつながっている。本稿では、「ケアとは関係性である」という主張に焦点をあて、まず社会学と人類学の領域の先行研究を整理する。その上で、ケアの関係性を描き出す作業にとって、文化人類学の基本的営為であるフィールドワークとそれに基づいた民族誌的記述が重要な役割を果たしうることを、2つの点に絞って明らかにする。1つは人々の関係性の背景を記述することであり、2つ目は、ケアの関係性を記述することである。ここでは、とりわけ言葉の内容にとらわれない音としてのコトバ、声で触れること、ともにいることなどに着目した。この2つの記述作業を併せ行うことによって、ケアの関係性の記述は、現在抱えているケアに関する問題を考えていくために必要な状況理解が可能になるだろう。
- 千葉大学大学院人文社会科学研究科の論文
- 2008-09-24
千葉大学大学院人文社会科学研究科 | 論文
- 戦後都議会の変容と政党システム
- 政治的リーダーシップ : 90年代の東京都政
- 日本における韓国大衆文化受容 --『冬のソナタ』を中心に--
- アイヌ語の名詞抱合
- アジア諸国の産業構造の多様性 -国際産業連関表に基づいた進化論のアプローチ-