セウェルス朝期のキリスト教迫害(Historia Augusta SeptSev 17.1)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「(セプティミウス)セウェルスもまた諸教会に対する迫害を仕掛けた時、敬神の闘士たちはあらゆる地域で輝かしい殉教を成し遂げた。特に数が多かったのはアレクサンドリアにおいてであった」。エウセビオスはその著『教会史』第六巻を上の言葉でもって始める。研究史においてこの記事は、ユダヤ人およびキリスト教徒に対し改宗・入信を禁じたセウェルスの告示を記した『皇帝伝』Historia Augusta の『セウェルス伝』17章と共に、セウェルスをもって「弾圧政策の新たな時代」に入り、「告示による迫害」が開始されたという見解を生み出したが、一方では逆に『皇帝伝』の証言の信憑性を全面的に否定して、セウェルスを、民衆主導と当局の受動性に特徴があるデキウス以前の前期迫害者の側に引き戻そうとする試みもなされている。そこで本稿では『皇帝伝』の証言に歴史的信憑性はあるのか、そしてこれを『教会史』の証言と結びつけて「告示による迫害」を想定することができるかどうか、この点について研究史を踏まえつつ論究する。
- 千葉大学文学部の論文
著者
関連論文
- キリスト教史学会関東部会講演要旨 コンスタンティヌス大帝の立像碑銘と十字信仰
- エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』の諸問題--その真正性,成立年代,編集意図
- ウァレリアヌス帝迫害
- ギリシア・ラテン文献における初期キリスト教徒の呼称表記
- 大迫害勃発の経緯に関する一考察
- 初期キリスト教の国家倫理と社会倫理
- Nomen ipsum
- セウェルス朝期のキリスト教迫害(Historia Augusta SeptSev 17.1)
- 古代アテナイにおける不敬罪訴訟の起源を巡って
- 古代ローマにおける文化的ナショナリズムの系譜
- ヨハネ黙示録とローマ皇帝礼拝
- 古代キリスト教迫害史に関する理論的考察
- リウィウス『ローマ建国史』4・30・11--アウグストゥス期の歴史叙述における「伝統の創造」
- トラヤヌス返書(Ep 10.97)とキリスト教"裁判"--古代キリスト教迫害史の時代区分に寄せて
- 177年リヨン虐殺事件再構成の試み
- Tertullian und das Imperium Romanum
- 「ピウス返書」の真偽性に関する文献学的考察
- テルトゥリアヌスの自然神学的世界像-2-対ユダヤ人論争
- テルトゥリアヌスの自然神学的世界像-1-対異教論争
- 殉教者称号μαρτυζの選定理由--μαρτριaとομολογια
- ミヌキウス・フンダ-ヌス宛て,ハドリアヌス返書
- ローマ帝国--古代教会の生態学的マトリックス (シンポジウム 第六一回キリスト教史学会大会)
- エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』とテオドシウス朝期の文学的プロパガンダ
- Patrologia Graeca収録作品の電子データ
- 論点開示 宗教政策史的観点から見た「3世紀の危機」 ([西洋史研究会]2009年度大会共通論題報告 3世紀の「危機」再考)
- 312年天空十字顕現の文学的虚構性とその伝承成立年代 : 『コンスタンティヌスの生涯』偽書説への一論拠
- ローマ中央広場のコンスタンティヌス像とその碑銘(Eus HE 9.9.10-11)
- コンスタンティヌス大帝の"改宗"年代
- 小プリ-ニウス「キリスト教書簡」(Ep.x,96)の理解のために
- 殉教者称号の成立とロ-マ帝国のキリスト教政策
- エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』の諸問題 : その真正性,成立年代,編集意図