市民活動へ参加する個人に関する一考察 : 横浜で活動する人の事例から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では、市民活動への参加は個人の生活においてどのような意味を持ちどのように位置づけられているのか、個人はどうして活動を継続あるいは中止するのか、ということを考察する。阪神淡路大震災以降、市民活動やNPOなどの民間非営利活動に対する期待が高まり、それを取り巻く環境が大きく変化するなか、社会にとっての意義ではなく、活動を支える個人にとっての活動の意味を探る作業は、今後の市民活動の展開を考える上で欠かせないものである。1章では、わが国および神奈川県における市民活動の歴史的展開をたどった上で、各種アンケート調査から明らかになっている現在の市民活動参加者の傾向を把握する。2章では、横浜で活動する人々を対象とした聞き取り調査にもとづき、市民活動への参加を促す要因、参加を継続あるいは中止させる要因について、パーソナル・ライフヒストリーを追いながら会話分析を行う。特に、参加の継続をめぐる要因に関しては、ネットワーク、団体内の役割、生活上の位置、という3点からの分析を試みる。3章では、個人の市民活動への関わり方を検討し、市民活動への参加は個人の生活を豊かにするいくつかの選択肢のなかから選ばれたものであることを指摘する。