7. A Note on Regional Anomaly and Secular Variation in Gcomagnetism
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概要
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地球の永久磁場の起因を説萌せんとする試みの中に於いて,所謂地方的異常は,地殻乃至は地表に近い地球内上層部が主磁場によつて誘導磁化されてゐる事に起因すると解釋されてゐる場合が多い.特に最近Haalckの如きは地球磁場の地方的異常の分布と大陸の分布との間には密接な關係があると論じてゐる。他方永年變化の起因に就いても同様の考が用ひられ,地球上層部の帶磁状態の變化に因つて永年變化が生ずるといふ考が屡々提出されてゐる.然し地球表面に於ける地方的異常又は永年變化の分布と,之に對應すべき地球内上層部の帶磁状態の分布との間の關係を量的に吟味した結果は未だ見當らない様である.この論文に於いては,先づ地球表面下任意の深さにある,地球半徑に比して厚さの薄い一つの球殻を以て帶磁層を代表せしめ,その球殼の帶磁率κと厚さdとの積の分布が任意の形の球面分布として與へられる場合に,一つのCentred dipoleの磁場によつて與へられる地球の主磁場がその球殼を誘導磁化するとし,その球殼の帶磁による球殼外の磁氣ポテンシヤルを求める問題を取扱つた.その結果,地球表面に於ける磁氣ポテンシヤルの分布が與へられゝば,逆に前記球殼上のκ×dの分布を一義的に求める事が出來る.但し球殼の半徑は適當に假定しなくてはならない.要するに重力異常から地下溝造を求める坪井教授の方法,及びそれを擴張して筆者の與へた一様な主磁場が存在する場合に局部的地磁氣異常から地下構造を求める方法等と同じ考を更に擴張したに過ぎない.この方法を地球の永久磁場の問題に適用して見ると,若し主磁場に對應するCentred dipoleが地球の廻轉軸と等しい方向を持つとするならば,(此の假定は,地球の主磁場が地球と災に廻轉する電氣の誘導に中るとするSutherland, Angenheister, Haalck流の考や,Gyromagnetic効果に因るとする考を採用する際の當然の結論であるが,)地球磁氣ポテンシヤルを極距離θ經度φを用ひて球凾數に展開した時,一般にP^n_n(cosθ).(n≧1)の係數は零でなくてはならぬ事になる.球殼のκ×dが如何なる分布をしても,磁氣ポテンシヤルはP^n_n(0≦m≦n-1)諸項のみを含む級數によつて表はされる譯である.然るに實際の觀測値から,地球磁氣地方的異常のポテシヤルを展開した結果に於いてP^n_nの係數はかなり大きい.從つて地方的異常のすべてを主磁場による地殼の二衣的誘導磁化に起因せしめる事は許されない.κ×dの二次的帶磁が責任を負ひ得ない磁氣ポテンシヤル部分の地球表面に於ける分布は本文第2圖に示す如くである,猶又,P^n_n項を含を部分を取除いた残りの磁氣ポテンシヤル■式■に對應する球殼のκ×dを求める事が出來るが,Dyson及びFurnerの分析結果を用ひ,κd(θ,φ)てを求めた結果は本丈第3圖に示す如く,太平洋區域で小さく大西洋方面で大きい.d=50kmと假定する時κmax-κmin=4e.m.u.に達するが,この値は今迄知られてゐる.岩石の帶磁率,熱残留磁氣の値に比して著しく大きい.但し磁鐵鑛3%を含む岩石の飽和磁氣の強さは15e.m.u.であるから,この値に比べて前記のκの値は絶對に不可能といふ大きさではない事には注意を要する.永年變化に就いても同様の事が云はれる.但しこの場合は主磁場として地球磁軸を軸とするCentred dipoleの磁場を用ひる方がより實際に近いと思はれるので目下計算中である.この研究の遂行は文部省科學研究費による處が多い,記して謝意を表する.
- 東京帝国大学地震研究所,Earthquake Research Institute, Tokyo Imperial University,Geophysical Institute, Tokyo Imperial Universityの論文
- 1942-03-30