慢性腎不全患者における潜在的ファブリー病の検討
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概要
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原著論文日本人慢性腎不全患者254例(男156例,女98例)を対象に,潜在的ファブリー病の頻度,その遺伝子変異,臨床病型を検討した.その結果,血漿中,白血球中にα-ガラクトシターゼA活性の低下を8例に認めた.うち2例にα-ガラクトシターゼA遺伝子のエクソン部位に異常A156T,V339Eを見出した.うち1例は古典的ファブリー病であり,他方は腎障害のみを示す亜型ファブリー病であった.V339Eはこれまで報告がなく,突然変異であった.女性例の中には,ヘテロ接合体のファブリー病患者を認めなかった.ファブリー病は慢性腎不全患者の中に潜んでいることがあり,特に原因不明の腎不全の場合,注意を要する.腎障害のみを示す亜型ファブリー病の頻度は従来考えられていたよりも多い可能性がある.α-ガラクトシターゼA活性が低値であったが,遺伝子異常を認めなかった症例は測定時に阻害物質が存在した可能性や,遺伝子プロモーター部位等,遺伝子発現因子の異常が想定された