株式会社における支配とガバナンスの基礎理解 - 株式会社制度と企業の社会性に関する研究序説 -
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概要
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植竹晃久教授退任記念号コーポレート・ガバナンスをめぐる議論は,強大な社会的影響力を有する企業における支配の〈妥当性> が問われていることこそ,決定的な論点である。コーポレート・ガバナンス論は,かのBerle/Means以来の「会社支配論」とは異なる問題領域とされ,株式会社企業を「経営者支配」とする前提を基点とする。なぜなら,「所有者支配」型企業のように所有に基づく支配が貫徹しているならば,コーポレート・ガバナンス問題は基本的に生起しないとされるからである。ところが,同族企業の不祥事や経営悪化が露呈するに伴い,所有者支配型企業におけるコーポレート・ガバナンスも論点として認識されるようになってきている。また,株主主権のガバナンスが十全に機能しているとされてきた企業における不正行為なども,株主一元論に基づく議論への修正を迫っている。これまでは,企業の諸ステークホルダーの利益が一定に満足し得るレベルにあり,これが,相対的ではあるが一定に「経営者支配」を許容する基盤として存在していた。つまり,経営者支配の正当性を無視し得る状態を形成していたのであるが,株主の利害が損なわれるとき,経営者支配の正当性根拠が要求され,株主一元論に基づく議論が展開される。もっとも,今日,所有権はもはや経済的権力の唯一の源泉たり得ない。権力の源泉が多様化しているが故に,多様なステークホルダーの利害もまた考慮されなければならない。多様なステークホルダーの利害が損なわれるとき,経営行動そのものに対する疑問が呈されるようになる。所有者支配であろうと経営者支配であろうと,企業の経済性と社会性の同時的即時的達成こそ,コーポレート・ガバナンスの根本的課題に他ならない。
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