男性冠疾患患者における性ホルモンの臨床的検討
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概要
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動脈硬化性心血管性疾患は男性に多く,女性は閉経後にその発症が急速に増加する。本研究では,性ホルモンの異常が男性における冠動脈疾患の危険因子となりうるか否かを臨床的に検討した。対象は,2000年2月から2002年6月までの間に待期的冠動脈造影検査を施行した男性患者連続420例である。すべての患者でfree testosterone (FT),高感度estradiol (E2), dehydorepiandrosterone sulfate, progesterone,黄体化ホルモン,卵胞刺激ホルモン値を測定した。第1の検討では,ACS群(急性心筋梗塞と不安定狭心症),Stable群(安定型労作性狭心症と陳旧性心筋梗塞),Control群(冠動脈に有意狭窄を認めない群)の間で性ホルモンを比較した。ACS群でE2が有意に低値を示し, FT/E2比が有意に高値を示した。第2の検討では,冠攣縮性狭心症群,安定型の労作性狭心症群,冠動脈疾患を認めない群に分類し比較したが,すべての性ホルモンにおいて3群間に有意差は認めなかった。多変量解析の結果,急性冠症候群とE2及びFT/E2の関係は古典的冠危険因子から独立し,特に後者は肝機能障害に影響されなかったことから,より有用な臨床的指標であると考えられた。冠攣縮性狭心症と性ホルモンには有意な関連性は認めなかった。