注視点移動の基本的特性の研究
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概要
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注視点移動の基本的特性に関する従来の心理物理的実験を調べ,現象論的法則群の相違点,実験手法・条件の相違点などを明らかにした.法則の相違点は,実験条件にあるとし,適切と思われる新しい実験条件を設定して心理物理学的現象の確定を試みた.次に,サッカードに関する神経生理学的研究を調べ,サッカード決定の概略的仮説(目的に応じて脳の種々の場所から上丘(SC)に情報が送られ,適切なサッカードが生じる)の設定を試みた.最後に,サッカード決定の高次過程の例として漢字の崩壊現象(漢字をじっと注視していると偏や旁などの部分は分かるが漢字自体は60秒以内に分からなくなってしまう現象)と注視点移動の関係に関する仮説「一般に,切り出された1つの領域の認知は領域の中央に注視点(あるいは注意点)を移動して行われるが,漢字の崩壊過程においては崩壊現象の生じる前に偏や旁などの部分領域の中央に注視点が移動し,部分領域が認知の独立対象に変化する」の設定と検証実験を試みた.実験の結果,漢字の崩壊が意識される約8秒前に注視点がその部分領域の中央に移動することが分かった.
- バイオメディカル・ファジィ・システム学会の論文
- 2014-04-25