"庇護性"の視点からみた妊産婦にとっての助産師の関わりの意味
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,"庇護性"の視点から妊産婦にとっての助産師の関わりの意味を成すものが何かという妊産婦ケアの本質に対する問いを, Bollnow教育人間学に依拠しつつ明らかにすることである。研究協力者は妊産婦16名で半構成的面接を行った。分析は,妊産婦が助産師との関わりの中で「安心した」・「助かった」・「救われた」・「自分の存在が肯定された」等の"庇護性"に関する文脈を抽出し,体験の意味内容を損なわないように内容の類似性に基づいて整理した。結果,助産師が《声をかけてくれた》・《話を聞いてくれた》・《傍に居てくれた》・《触れてくれた》ということ等から【助産師との関わりを通して自分が見えた】が抽出された。それは,妊産婦にとって,「安心感」等の"護られている"という情感から,ひいては,自分が「ほっとかれている感じがしない」等の妊産婦の存在を支えている安心の人間的基盤へのつながりを示していた。さらに,これまでの体験を拠り所として,【助産師との関わりを通して開かれていく兆し】が抽出された。これらのことは, Bollnowが述べる"Geborgenheit"(庇護性)の諸相とその特徴を示すものであり,妊産婦が助産師との関わりを通して,助産師の気づかいや関心の中に在ることを感じ,自身の存在に意味や価値を見出せるように配慮をしながら,"護られている"という情感へと導いていくことの必要性が示唆された。
- 日本母性衛生学会の論文