白亜紀末の大量絶滅事変における動物群の絶滅の選択性(<特集2>白亜紀末の大量絶滅事変に残る謎)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
白亜紀/古第三紀境界(K/Pg境界;約6,600万年前)で生じた、小惑星衝突を引き金とする大量絶滅について、動物の分類群ごとによる絶滅の選択性(絶滅したか、生き延びることができたか)の原因に関してレビューする。同境界において、陸上脊椎動物では非鳥型恐竜類と翼竜類などが絶滅して、鳥類・カメ・ワニ・トカゲ・ヘビや両生類・哺乳類などは絶滅しなかった。その選択性の原因として、(1)衝突後数分から数時間までに、木陰や洞穴、淡水環境に逃避できたか否かという生態や生活様式の違い、(2)生食連鎖か腐食連鎖のどちらに属するかという違い、および(3)体サイズにより必要となる餌やエネルギー量の違い、が挙げられる。これらの複合的な生態の相違によって、大量絶滅時の選択性が左右されたのである。また、アンモナイト類は絶滅したが、オウムガイ類はK/Pg境界を超えて生き延びることができた。この運命を分けた原因は、幼生期に海洋表層でプランクトン生活を送っていたか、それとも深海で棲息していたかという棲息場所の違いである。その結果、衝突後に大量に降ったと推定されている酸性雨からの被害が大きく異なり、両者の運命を分けたと考えられる。長年、白亜紀末の絶滅の生物選択性には多くの疑問が提示されてきたが、以上で挙げたような生態学的要因によって、その多くが説明できると考えられる。
- 日本生態学会の論文
- 2014-03-30
著者
関連論文
- 恐竜絶滅研究の最前線
- O-63 北海道天塩中川地域に分布する上部白亜系蝦夷超層群の砂岩モード組成 : 前弧海盆堆積物(空知-蝦夷帯)と海溝充填堆積物(日高帯)における後背地の共通性(7.砕屑物組成・組織と続成作用,口頭およびポスター発表,一般講演)
- 北海道天塩中川地域上部白亜系の層序と大型化石群の特性
- 北海道天塩中川地域上部白亜系佐久層のチャネル充填堆積物中より産出した化石とその意義
- P-47 北海道北穂別地域における上部白亜系大型化石層序(9.地域地質・地域層序,ポスター発表,一般講演)
- 北海道蝦夷層群セノマニアン階における陸源有機物の炭素同位体比層序(19.中・古生代古生物)
- 野外地質巡検の事前学習へのインターネットの活用
- 第 1 回国際古生物学会議巡検報告
- 北海道北穂別地域における上部白亜系蝦夷層群の大型化石層序
- 白亜紀末の大量絶滅事変における動物群の絶滅の選択性(白亜紀末の大量絶滅事変に残る謎)