東日本大震災被災地東北3県における水産資源モニタリング提言
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概要
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東日本大震災により被災した岩手・宮城・福島県の水産業の長期的な復興のためには信頼性の高い資源管理が欠かせない。漁業の努力量を故意に増減させ,資源量の応答をモニタリングし,生物学的情報や資源状態に合わせて水産資源管理方策を探る手法を積極的な順応的管理と呼ぶ。被災地では複数の魚種で漁獲努力量が下がっており,今まで観測されていない漁獲努力量下での資源の応答をモニタリングすることができる。これは前述の積極的な順応的管理と同様の状況であり,そのモニタリングは資源評価・資源管理において大きな意義を持つ。本研究では,被災地において震災後直ちに得られる情報を用いて,積極的な順応的管理を漁業資源管理に使用する場合を想定し,3県でデータを得られた49魚種を対象とし,県における重要度と生物学的特徴を考慮した基準でモニタリング優先順位を求めた。しかしながら,これらの結果は恒久的なものではなく,今後漁獲努力量や生息環境の変化が明らかになるにつれ,更新していくことが重要であると示唆された。
- 2014-06-25