高温プラズマのX線観測で宇宙の大規模構造の形成を探る
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概要
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宇宙X線分光は宇宙の進化を探る上で極めて強力な手段となっている.X線マイクロカロリメータは広がったX線源の観測を可能にし,鉄のK輝線に対してこれまでのX線CCDに比べて約30倍優れた約5eVのエネルギー分解能を実現する.これにより銀河,銀河団の高温ガスの乱流や集団運動といったガスダイナミクスを100km s^<-1>ほどの精度で知ることがはじめて可能になる.2015年に日本が打ち上げるX線天文衛星ASTRO-Hでこうした新しいサイエンスが始まる.一方,現在の宇宙では半分以上のバリオン(通常物質)が未検出のままでダークバリオンと呼ばれるが,それらは宇宙の大構造に沿って100万度ほどの中高温銀河ガス(Warm-hot intergalactic medium(WHIM))^1となって分布すると予想される.広視野のマイクロカロリメータを用いて赤方偏移した酸素輝線を観測できればダークバリオンの大部分が捉えられることになる.ASTRO-HがはじめるX線分光天文学は将来も大きく期待されている.
- 2014-03-25
著者
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