19世紀山東西部の定期市運営をめぐる郷村政治 : 孔府档案からの検討
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概要
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本稿は「孔府档案」に記載された19世紀山東地区の定期市運営をめぐる紛争事例を取り上げた論考である。市運営は牙行と公称された仲介・徴税請負許可を根拠になされ運営を担った有力住民は市の移転や競合相手への暴力など一定の<権力>を行使しうる存在であった。だがその反面,彼らは各種のサービス提供や地域投資を介して住民からの支持取り付けに常時つとめる必要があった。市運営者の<権力>は地域に公益をもたらす限りで住民から是認されており,住民支持の維持に運営者自身の権威向上の契機があった。以上の事例を主とし村落-郷鎮間レベルの地域社会で取り交わされた住民間の権力関係およびその関係に潜在した論理の分析を試みる。
- 一般社団法人中国研究所の論文
- 2014-02-25