F.チェニーを通してみるアメリカにおけるレファレンスサービス論成立期の検証
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概要
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アメリカにおけるレファレンスサービス分野の代表的人物の一人であるフランシス・ニール・チェニー(Frances Neel Cheney, 1906-1996 以下F.チェニー)は、第二次世界大戦直後の1951年に、慶應義塾大学文学部の日本図書館学校において日本人にレファレンスを教育した。これは日本における本格的なレファレンスサービスの教育であった。彼女は、図書館学教育をヴァンダービルト大学、ピーボディー図書館学校、シカゴ大学大学院図書館学校、コロンビア大学図書館学校で受け、コロンビア大学で、ハッチンス(Margaret Hutchins, 1884-1961)からレファレンスサービスを学んだ。Introduction to Reference Workの著作で著名な人物である。本稿では、まずF.チェニーがレファレンスサービスを学び、教えた時期と、米国でレファレンスサービス論が確立された頃との重なりの検証を試みた。さらに、1971年のガルヴィン著のレファレンスサービス・ケーススタディ書との関わりによって、新しいレファレンスサービスの教育方法が模索されていた時代にも位置していた人物であることも確認したいと考えるものである。このため、ヴァンダービルト大学図書館に保存されているSpecial Collectionsの"Brainard and Frances Neel Cheney Papers"やその他の文献を考察材料として使用した。