透明視の清澄感に対する色情報と輝度情報の寄与 : 初期色彩情報処理過程における分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
透明視の見えのタイプには,澄んだ見え,すなわち「清澄感」を伴うものと,濁った見えを伴うものがある.本研究では,色彩情報処理の初期過程である反対色過程における色情報と輝度情報が清澄感に及ぼす影響について検討した.実験では,有彩色と無彩色の重なり図形の清澄感を有彩色図形の色度と輝度を変数としてマッチング法により測定した.有彩色図形については,DKL空間の(L-M)軸,S軸上に各々の色対を設定し対内の2色の色信号強度は等しくした.その結果,色信号強度レベルと輝度が変化しても対内の色に対する清澄感は等しくなった.また,輝度を低下させると清澄感は高くなった.さらに,清澄感は輝度情報のみの無彩色領域で高い傾向を示し,色情報が加わると急速に低下することが示唆された.これらを濁った見えを伴う透明視の先行研究と比較すると,色情報は抑制的・促進的と逆方向であるが,輝度の低下の効果は共に促進的で同じ方向にあると言える.澄んだ見えと濁った見えを伴う2つの透明視のタイプに寄与する視覚情報処理過程は異なっている可能性がある.
- 2014-01-01
著者
関連論文
- 第37回全国大会報告
- 運動知覚情報の空間相互作用 : 同化・対比現象の空間周波数依存性
- 運動情報の空間的相互作用 : 空間特性からの解析(B-2,VI.第14回大会発表要旨)
- 脳磁(MEG)計測によるヒトの視差検出過程の解析(研究発表B,VI.第17回大会発表要旨)
- 脳機能画像計測と視覚心理物理学
- MEGによる赤-緑反対色系のコントラスト利得および時間加算特性の解析
- ヒトV1, V2, V8における色情報処理の時間特性 : fMRI研究
- 2次元運動検出器に基づく同化現象の解析
- 2次元運動における同化現象の刺激依存性
- 漆職人はどのように天然漆器の外観の特徴を識別しているのか : 光学画像解析による研究の試み
- 透明視の清澄感に対する色情報と輝度情報の寄与 : 初期色彩情報処理過程における分析