権利擁護支援体制構築に向けた社会ネットワーク形成の諸相 : 中山間地域における権利擁護支援センター誕生までを事例として
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概要
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本研究の緒言は,人々が主体性を持ち,健康で豊かに心地よく暮らせる地域社会の実現のために,地域の社会ネットワークはどのような役割を果たすのかという問いである.本稿では,中山間地域の権利擁護支援事業のネットワーク形成の諸要件に焦点を置き調査し,その問いを考察する事を試みた.調査は,T県東部地域における権利擁護支援体制の実態把握と,平成23年度に設置予定の権利擁護支援センターにおける設置構想策定のための基礎資料とするために行った.その調査では,地域の福祉専門職に対して,権利擁護支援における現状や課題,支援を行う上で必要な事等を尋ねた.その調査結果を基に,全国権利擁護支援センターが示した権利擁護の実践概念枠組みに照らし,権利擁護支援体制のネットワーク構築について考察した.結果,(1)権利擁護支援の必要性が生まれるのは,権利擁護支援制度の利用者とはっきりと断定できる場合と,金銭管理や家族等の人間関係で迷うケースだった.(2)各専門機関で権利擁護支援が必要かどうか迷ったケースや権利擁護支援が必要とされるケースは,市町村窓口が最初の窓口として機能を果たしていた.(3)連携により相談状況は進捗したか尋ねると,市町村福祉担当課が最も多く,ついで,民生委員と市町村社会福祉協議会だった.T県東部地域では,住民や市町村行政等の役割が大きいと言えた.
- 2014-03-31