「新しい公共」と社会政策(<特集>「新しい公共」と社会政策-社会政策学会第125回大会共通論題)
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概要
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民主党の鳩山内閣が掲げた「新しい公共」は社会的な注目を浴びたが,これは2000年頃からすでに議論がはじまっていた。「新しい公共」は,社会サービスの民間への下請けを促進する新自由主義の考え方であるとする議論と公共への市民参加へ道を開くものという2つの見方がある。しかし,こうした見方の違いにかかわらず,「新しい公共」の背景には,社会や経済の構造変化の下で新たな社会的ニーズ・リスクが広がっていることがあり,それに対応して公共サービスの担い手が,国=官だけに限定されず,NPO,企業など多様な組織に広がっていることがある。すでに企業にせよ,NPOにせよ,社会サービスの供給主体として福祉社会のなかに組み込まれている。その反面,こうしたなかで実態として社会サービスの質の低下やスタッフの労働条件などの問題も生じている。これに対して社会サービスの実態を踏まえた福祉社会のガバナンスをいかに構築するかが今日の重要な課題となっている。また,主として国の政策と考えられてきた社会政策が,実態としてNPOなどに担われていることを考えれば,社会政策論のなかにNPOなどを位置づけることも必要になっている。
- 2013-10-30