英語活動を通した児童のアイデンティティ形成と英語の学習意欲の関連 : 英語圏における日本語学習者との交流授業から
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概要
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本研究の目的は,英語を第一言語とするアメリカ在住の日本にルーツのある日本語学習者(子ども)と行う交流授業は,児童のアイデンティティ形成と英語の学習意欲との間にいかなる関連をもたらすかについて検証することにある。調査は小学校6年生35名を対象に,交流授業の前と後に質問紙法で行った。その結果,アイデンティティの項目で言及回数に有意差が認められたカテゴリーは,「年齢・誕生日」「身体的特徴・イメージ」「精神力・体力・目的意識・夢」「特殊能力(運動・言語・芸術・音楽など)」「対人関係・行動様式」「価値観・規範意識・信仰」「好き嫌い(勉強,教科活動)」「児童としての役割・地位(小学生・学校名・クラス名など)」「地域意識」「家族関係」「日本志向・他国志向」であった。次にアイデンティティと学習意欲の関連をさぐるため,前述のカテゴリーごとに授業後に言及した児童のみを選択し,学習意欲の項目ごとに分析を行った。その結果,「対人関係・行動様式」「日本志向・他国志向」の2つのカテゴリーで授業後に言及した児童は,学習意欲の「有能感」「挑戦傾向」「独立達成傾向」の項目の一部で有意にプラスであった。以上のことから,このような交流授業は,児童のアイデンティティ形成に影響を及ぼし,かつ英語の学習意欲を高めることにつながることが示唆された。
- 2012-03-20