蛇の「前世」と「今生」 : 魯迅の描く「蛇」について(<特集>中国近代文学研究の現在)
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概要
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魯迅の「国人」の国民性と病的社会を暴いた文章の中には,動物の痕跡が見られ,この痕跡は軌を一にして陰に陽に魯迅の描いた病的社会を貫いている。「人」と「獣」の交錯「人性」と「獣性」の対照が「病的社会」と「獣性世界」を融合させ,極めて荒唐無稽な芸術的手法によって,定めなき「彷徨」を描き出し,耳を劈く「口内喊」の声を上げさせた。このような動物世界の中で,魯迅は「蛇」の形象を原型に,その反逆性,毒性,強靭性などの特徴を文学化し,社会に批判力を賦与し,自ら血の中に溶け込んだ反逆の力を表現した。それによって国民の血の中の劣悪な根を震憾させ,国民に内在する「蛇」の反逆力を呼び醒ましたのである。
- 2013-12-25
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